逆日歩
ご質問への回答
(1) 品貸料(逆日歩)
制度信用取引の売りを行う顧客に貸付ける株券を証券会社はどのように手当てするのでしょうか。食合い以外には証券会社が保有する株券を貸し付けるといった方法もありますが、最も利用されているのが証券金融会社から借りる方法です。
では、今度はその証券金融会社はどのように証券会社に貸付ける株券を手当てするのでしょうか。
多くの場合は、証券金融会社においても食合いを利用していますが、銘柄によっては融資残高を上回る貸株の申込みが行われたため(「貸株超過」といいます。)、食合いではまかないきれないことが生じます。
このとき、証券金融会社は、不足分を別途調達しなければ既に信用取引による売付けの約定を成立させている証券会社が決済を行えなくなってしまいますので、株主等に借り賃を支払って株券調達を行います。この借り賃を証券金融会社は「品貸料」として貸株申込みをした全証券会社に転嫁し、各証券会社では更に制度信用取引の売付けを行った顧客に転嫁します。証券会社による貸株の申込みや証券金融会社によるこのような株券調達は1日単位で行われることから、「品貸料」はその都度決定することになります。
なお、「品貸料」は「逆日歩(ぎゃくひぶ)」とも呼ばれていますが、これは戦前まで行われていた短期清算取引において買い方から売り方へ支払うものを日歩といっていたのに対して、売り方から買い方へ支払うものを逆日歩といっていたため、この呼び方が同様に売付けを行った顧客が1日単位で支払う「品貸料」に受け継がれて定着したものと考えられています。
(2) 品貸料の決定方法
証券金融会社は、貸株残高が融資残高を超過して株不足が発生した場合、その都度、不足株数を入札形式で証券会社(一般投資家は証券会社に委託することで入札に参加することができます。)又は生損保当の機関投資家から調達します。(恒常的に貸株超過の銘柄については、毎日入札を実施することとなります。)この入札を経て決定されるのが「品貸料」となります。
例えば、ある銘柄の制度信用取引の売残高が100万株、買残高が90万株あるとします。証券会社が貸借取引をした結果、証券金融会社において10万株の株不足が発生し、この不足分を証券金融会社が入札により調達したとします。また、この場合の品貸料が1日5円だとします。なお、分かりやすくするため、証券会社による貸株及び融資についてはないものとします。
90万株分については、売残高と買残高とが食合いをしているので、証券会社、証券金融会社を通じて450万円の品貸料が売り顧客から買い顧客に支払われることとなります。
残りの10万株分の50万円の品貸料については、売り顧客が支払ったものが証券会社、証券金融会社を通じて株券の調達先に支払われることとなります。
このように、全ての売り顧客は1株1日5円の品貸料を支払い、全ての買い顧客及び株券の調達先は、1株1日5円の品貸料を受け取ることとなります。
ところで、売付けの約定日(約定後の夕刻)に貸株の申込みを行った証券会社が、実際に証券金融会社から株券を借り入れる日は品貸料が決定した日(約定日の翌営業日)ではなく、その2営業日後の日、つまり売り付けた株券を渡す日(決済日(約定日から数えて4営業日))です。
例えば、月曜日に「売付け」を行い、翌火曜日に「返済のため買付け」を行った場合は、木曜日に「株券の借入れ」を行い、翌金曜日に「買い付けた株券で返済」を行うこととなります。
このように、証券金融会社に対する貸株あるいは返済の申込みについては約定日ベースで、実際の株券の受け渡しは決済日ベースで行われているのです。
この関係から、新規の売付けが火曜日に行われた場合には金曜日に株券を借り入れるので、返済するのは早くても月曜日であり、この間の土曜日および日曜日については最低限継続して借り入れることが確実となります。このため、証券金融会社が火曜日の申込分について公表する品貸料は3日分の合計額が公表されているのです。
(3) 品貸料の授受
決定された品貸料は貸株超過となった日において制度信用取引の売付けを行っている顧客全員がこれを支払うことととなります。
その一方、同日において制度信用取引の買付けを行っている顧客全員がこれと同額を受け取る制度としています。
このような制度としている理由は食合いにあります。証券金融会社においては確かに株券が不足しているのですが、売付けに必要な株券は買い顧客が買い付けた株券を利用することとしているため、入札を行わざるをえなかった分の株数がどの顧客の売付けが原因で発生しているのか特定できるものではありません。ただし、この入札は少なくともその時点で売付けを行っている顧客のために実施されたものであることに他なりませんから、売り顧客全員で品貸料を支払うこととしているのです。
一方、このとき制度信用取引の買付けを行っている顧客は、仕組み上、売り顧客に対する株券の供給者となっていますので、この点において入札を通じて株券を提供する生損保等の機関投資家と同等の立場にあることから、全員が同額の品貸料を受け取ることとしているのです。
(4)「満額」と「0銭」
「満額」
証券金融会社では、まず貸借取引の申込みを売買取引が行われた当日の夕刻に証券会社から受け付けます。
この結果を基に当日の融資残高及び貸株残高を暫定的に取りまとめてこの時点での貸株超過株数、つまり、証券金融会社が外部調達をしなければならない不足している株数を算定します(日本証券金融の場合では「貸株超過銘柄等内訳書(速報)」の中で「貸株超過株数」が発表されます。)。
しかし、この「貸株超過株数」は、翌営業日の入札実施時に並行して証券会社から借株の返済や融資の追加申込みを受け付けているため変動し、その追加申込みの数量によっては不足株数が解消してしまう、すなわち「貸株超過株数」がなくなってしますことがあります。
このように暫定的に算定された「貸株超過株数」が翌営業日の追加申込みによって解消されることを「満額」と言います。
このような「満額」となる追加申込みは売買取引当日に申込みを失念していた場合も当然あるかと思いますが、その他にも、後述の「0銭」による応札と同様に制度信用取引の売り方顧客を待たずに自己資金を融資していた証券会社が、暫定的に算定された「貸株超過株数」を確認した後、制度信用の買い方顧客に対して自らの負担で品貸料を支払わなくて済むよう自己融資から貸借取引へ切り替える(=融資の追加申込みをする。)といった場合にも行われます。
ちなみに、日本証券金融の「品貸料率一覧(確報)」において備考欄に「満額」との表示がある銘柄においては「貸株超過株数(株)」が「−」で表示されており「当日品貸料率(円)」が「*****」と表示されています。
「0銭」
貸借取引において、貸株残高が融資残高を超過して株不足が発生した場合に証券金融会社が行う入札は各銘柄単位で執り行われ、それぞれ独立した需給関係に基づいて決定されるため、その結果適用される品貸料には当然差異が生じることとなります。
ただし、証券金融会社のところで貸株残高が融資残高を上回ったからといって全ての銘柄に有料の品貸料が発生するとは限りません。入札において無料(「0銭」)で応札する場合があり、これにより必要株数の落札が完了した場合です。
これは、主として制度信用取引の買い方顧客に対して自己資金を融資している証券会社に見られる対応で、制度信用取引においては「品貸料がついた銘柄については制度信用取を行っている全ての売り方顧客は当該金額を支払わなければならず、また全ての買い方顧客は当該金額を受け取ることができる」仕組みとなっていることから、仮にその銘柄に有料の品貸料が発生すると、制度信用取引の売り方顧客を持たずに自己資金を融資している証券会社は制度信用取引の買い方顧客に対して自らの負担で品貸料を支払わなければなりません(証券金融会社から資金を借り入れている場合は証券金融会社から品貸料を受け取ることができるため、証券会社の負担は発生しません。)。そこで、この証券会社は自己融資の担保として占有している買付株券を無料で証券金融会社に貸し出すべく「0銭」で応札するのです。
東証公式株式サポーター 信用取引編
東京証券取引所信用取引グループ 著 より引用
※東証公式株式サポーター 信用取引編
は投資家の教科書といってもよいのではないかと思います
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Q1. 品貸料(逆日歩)とはなんですか?
Q2. 逆日歩の金額はいつも一緒ですか?
Q3. 松井証券の無期限信用「売立」銘柄で空売りすると
逆日歩は発生しないのですか?
Q4. 前日の逆日歩確報はいつ、どこから見られますか?
Q5. 2つの銘柄があり、同じ株価で、
信用売り超過株数も同じであった場合逆日歩は同額でしょうか?
Q6. 逆日歩がつく銘柄で信用売りをし、
その日の取引時間中に返済買いをした場合、
逆日歩を支払わなければいけないでしょうか?
Q7. 権利付最終日に取引した分の逆日歩は1日分でしょうか?

日本証券金融で説明されている品貸日数の計算方法